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当科で行っている診療内容の具体的なご案内

診療内容

  この項目では、当科で行っている具体的な診療内容をご案内します。患者の皆様には受診の際の参考にしていただければ幸いです。

 当科では、皮膚疾患全般、特に皮膚・皮下脂肪の悪性腫瘍(がん)/良性腫瘍、デルマドローム(内臓疾患の皮膚への反映で内臓疾患の早期発見の手がかりとなる皮膚の徴候)、薬疹、湿疹やアレルギー性皮膚疾患(アトピー性皮膚疾患を含む)、自己免疫疾患(水疱症など)、乾癬、イボや帯状疱疹、みずむし、とびひ、といった感染症など皮膚に症状が現れたものすべて(重症・中等症のやけどを除く)をあつかっています。重症になる前に治療を行うことが重要です。

 受診を希望される方は、かかりつけ医師にお願いすれば、病診連携により、紹介状を書いて下さいます。皮膚に不安のある患者さんは、是非当科に受診をお願いいたしします。

1.皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)をはじめとする皮膚腫瘍・母斑

  皮膚癌には悪性黒色腫、基底細胞がん、日光角化症(お年寄りの顔面に多い早期皮膚がん、鳥取県に非常に多い)、ボーエン病(早期皮膚がん)、有棘細胞がん、乳房外パジェット病など様々な種類があります。いずれの癌もごく早期に精確な診断をつけることを心がけております。最終診断は、皮膚生検による病理組織学的検査によって行います。当科では、皮膚癌に対し数多くの手術を行っています。病変が非常に巨大かつ深部に進行していた場合や深部のリンパ節郭清が必要な場合は、耳鼻科、消化器外科、婦人科、形成外科の応援をいただいて手術を行うこともあります。少しでもおかしいなと思われたら、大学病院を受診されることを勧めます。

  1. 悪性黒色腫
    生物学的に悪性度の高い癌で主に皮膚や粘膜に生じます。治療の第一選択は手術ですが、時期によっては術後や、あるいは手術不能な進行期の黒色腫には化学療法(抗がん薬による治療)を行います。化学療法に関しましては、最新の考え方による抗がん薬が開発され、臨床現場に登場しています。皮膚生検(切除生検、もしくは頭頸部領域を除く部分生検)によって診断します。
  2. 有棘細胞癌
    ごく早期の癌であるボーエン病や日光角化症を含めると、最もありふれた皮膚癌です。治療の第一選択は手術ですが、ごく早期の場合は、液体窒素療法や外用療法を用いて治療する方法も選択できます。術前・術後や、手術不能例に対し放射線療法や化学療法を行うこともあります。
  3. 基底細胞癌
    この皮膚癌も良く見られます。手術療法が基本です。浸潤・破壊性が強いため、しばしば術中迅速病理組織検査を行い、十分な切除範囲の確保に努めています。
  4. 乳房外パジェット病
    まれな皮膚癌ですが、日本人には比較的多いと言われます。手術療法が基本です。原則として術前に切除範囲決定のための病理組織学的検査を行います。進行期には化学療法を行います。白癬(水虫、田虫)や湿疹・皮膚炎に酷似するためしばしば誤診されることがあるため、皮膚科専門医による診療が必須です。
  5. 皮膚附属器癌
    脂腺癌や汗腺癌が含まれますが、有棘細胞癌に準じた治療を行います。
  6. 母斑・母斑症                                          一種の皮膚の奇形です。整容的に問題になる場合が多いため、切除を希望される患者さんも多く、その場合は積極的に手術を行っています。当科では神経線維腫症1型の治療を積極的に行っています。
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2.センチネルリンパ節生検

  皮膚悪性腫瘍が所属リンパ節転移する場合に、最初に癌細胞が到達するリンパ節を探し出して摘出し、主に病理組織学的に癌細胞の有無を調べる最新の方法です。癌細胞が陰性であれば、余分なリンパ節郭清をせずにすみ、患者さんのQOLを著しく改善させます。当科では、色素法、ラジオアイソトープ法の両者を行っています。

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3.ダーモスコピー検査

  診断手技の一つで、特に悪性黒色腫や基底細胞癌といった黒色を呈する腫瘍と、それに類似した色素性病変との鑑別に威力を発揮します。

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4.難治性多発性円形脱毛症

  副腎皮質ステロイドの局所注射、局所免疫療法(DPCP、 SADBEを用いる)が可能です。 また16歳以上で発症6カ月以内の患者さんに対し、ステロイドパルス療法を行い良好な結果を得ています。最近では新薬(JAK阻害薬)による治療も行っています。

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5.乾癬

  主な治療法は、副腎皮質ステロイド外用、ビタミンD外用といったスタンダードな外用療法以外に、内服療法も可能です。病棟には全身紫外線照射装置も完備しており、紫外線療法(PUVA、ナローバンドUVB)も可能です。
  また、既存の治療では十分効果がない重症の尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬に対し、特定の因子に直接作用して症状を改善することのできるいわゆる生物学的製剤による治療も行っています。数多くの薬剤が登場し、当科でも選択肢が幅広くなっております。

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6.アトピー性皮膚炎

  学会が推奨するガイドラインに沿った通常の外用・内服療法が主体です。副腎皮質ステロイド外用薬は、重症度に合わせてランクを変えるなど、個々の患者さんのスキンコンディションに合わせたオーダーメード治療を行います。またスキンケア療法にも重点を置いています。重症患者さんを対象として生物学的製剤、JAK阻害薬による治療も行っています。
  患者さんに十分に説明し、出来る限りご希望に沿うよう努めています。

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7.自己免疫性水疱症(天疱瘡、類天疱瘡、あるいはその類症)

  原則として入院の上、副腎皮質ステロイド内服療法を行います。また難治の場合ステロイドパルス療法を行うこともあります。ある特定の病型ではγ-グロブリン大量療法を行うことも可能です。

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8.重症薬疹

  様々な新薬の登場により、特殊なタイプの薬剤アレルギーが増えています。病理組織診断を含む適確な診断を行った後、原則として副腎皮質ステロイド内服療法を行います。重症型ではステロイドパルス療法も可能です。大量γグロブリン療法を行うこともあります。

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9.皮膚感染症(細菌、ウイルス、真菌)

 重症例に関しては、入院の上、抗ウイルス薬・抗生剤による治療を行っています。 

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10.陥入爪

  陥入爪に対するワイヤー治療(自費)を行っております。これは特殊な金属でできたワイヤーで、手術等の苦痛を伴う手技を駆使することなく湾曲した爪を矯正する方法です。

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11.皮膚病理組織検査

  皮膚科診療の根幹をなす検査方法で、当科が最も得意とする分野です。臨床診断が難しい例でも、病理組織検査により診断がつくことがしばしばあります。特に悪性腫瘍の診断には必須の検査です。

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12.エコー検査

  皮膚専用のプローベを用い、高画像で病変を描出することで、診断の手助けとなります。

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13.皮膚アレルギー検査

  接触皮膚炎(いわゆる「かぶれ」)の原因物質を検出するためのパッチテスト(貼付試験)や、蕁麻疹やアナフィラキシーの原因抗原を検出するための皮膚反応試験を行っています。薬剤アレルギー検査のためのチャレンジテストを行う場合もありますが、この場合は原則として入院での検査になります。

14.入院について

 皮膚腫瘍(良性からがんまですべて)や母斑(ほくろ、あざ)をはじめ、アトピー性皮膚炎、水疱症、乾癬などの難治性疾患、帯状疱疹や丹毒などの感染症まで多岐にわたります。皮膚外科治療については、手術室、外来処置室での手術件数は山陰地方随一を誇っております。現在医療事故防止の観点などから、手術はできる限り設備の完備した中央手術室で行う方針にしておりますが、ごく小型の腫瘍は外来処置室でも可能です。

15.さいごに

 当科では鳥取県西部・中部および島根県東部地域のみならず、山陰地方全域および岡山県北部をも対象地域としております。地域機関病院皮膚科が担うべき役割を認識し、高齢化や複雑化する社会環境・医療環境のなかで、皮膚科医に要求される医療を効率的に提供できるよう、スタッフ一同努力していきたいと思っております。